熊野灘の定置網漁

日本列島のちょうど中央に位置する紀伊半島の南側、

三重県尾鷲市にある小さな漁村『早田町(はいだちょう)』

広大な尾鷲湾の南部より、クサビのように陸地に入り込んだ最奥部に位置する人口約140人が暮らす漁師町です。 


ここで昔から、町の基幹産業として続いている大型定置網の会社が『早田大敷(はいだおおしき)』です。

地域に根ざした伝統漁法「大敷網漁」

早田町を含む三重県南部地域では、古来より様々な漁法をもちいた漁業が盛んな地域です。中でも「大型定置網漁」は、各浦々の文化・風習と密接につながり、「大敷(おおしき)」と呼ばれ親しまれています。


自然資源に優しい漁法

大敷網漁は約5種類の網で構成されます。

魚の回遊ルートに設置した全長1,000mを超える道網(垣網)で、運動場・登り網を経由して箱網や金庫網に魚群を導きます。大敷網漁とは、これら一式の網を構えることで、そこに迷い込んだ魚を捕える “待ちの漁” なのです。

性質上、付近を回遊する大きな魚群の中から、網内に迷い込んだ一部の群れだけを漁獲する漁法であるため、他の周囲の魚群を狙って一網打尽にする漁法と比べて自然資源に優しい漁法であると言われています。

※イラストはイメージです。

会社の方針

地域と共に生きる

私たちの住む小さな町にとって、定置網漁と地元住民の生活は切り離せないものです。私たち早田大敷の存続こそがこの町の生活に直結しています。

しかし、高度経済成長期を経て、地元の若者が流出、人口の減少、高齢化率の上昇が続きました。同時に定置網漁師も高齢化・担い手不足に悩まされました。

若手漁師の確保、経営の改善、藻場の再生など、次の世代に残すための先進的な漁業へ向けた取り組みを多角的に行っています。一定の成果を残しつつ、引き続き将来への橋渡しを目指していきます。

もうかる漁業

早田大敷では、平成29年に水産庁の「もうかる漁業創設支援事業」の採択を受け、4つの項目に分け“もうかる”先進漁業へ向けた経営の革新を行いました。

早田大敷の歴史

漁師の現場

早田湾の入り口に広がる巨大な大敷網を空中・海中それぞれの視点から撮影した映像です。

乗組員や漁船と比較し、いかに大きな網を使用しているかがお分かりいただけると思います。

空から見た早田大敷定置網

※当映像は、「もうかる漁業」への移行前の映像となります。

海中から見た定置網

水中カメラで、海中の定置網の状態を撮影しました。

大型定置網の箱網内、魚どりのあたりから金庫網周辺までを撮影しています。ブリが泳いでいる様子も確認できます。